産後の多汗症、腋臭症。治る?治らない?
妊娠や出産をきっかけに体に様々な変化が起こる方が多くいらっしゃいます。
その中のひとつに「腋汗の量が増えた。」、「臭いがきつくなった。」というお声をたびたび耳にします。
今日は気になる産後の多汗症についてお話いたします。
ポイント1
多汗症、腋臭症とは?
まず「多汗症」、「腋臭症」とはそもそもどういうメカニズムで起こるのでしょうか。
体の中でも特に汗をかきやすいと言われる「ワキ」を例にして説明します。
ワキの下には… 「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2つの汗腺と、「皮脂腺」があります。
これらから分泌される汗や油分が混ざり合い、雑菌によって分解されると、独特のニオイを放ち始めます。
ワキの下にある3つの分泌腺は誰にでもあるものですが、人より多いと腋臭症(わきが)に。
特に「アポクリン汗腺」の数が、ニオイの強弱に影響します。
わきがは遺伝的な要素が強いので、人によってニオイやその強弱は異なってきますが、ここ数十年の日本では食生活の欧米化にともなって体臭の強い人が増えているといわれます。
このメカニズムは妊娠や産後に関係なく起こりうる現象ですが、そこに妊娠・出産による体の変化と合わさるとどうなるのでしょうか?
※多汗症、腋臭症について詳しくはこちら⇒お悩み別(ワキガ・多汗症)
ポイント2
産後に起こる変化は?
産後に起こる変化の中で特に多汗症、腋臭症と関係の深い
「ホルモンバランスの乱れ」、「免疫力低下」、「食生活の変化」、「汗腺刺激」
にフォーカスしてみましょう。
2-1 ホルモンバランスの乱れ
汗の分泌は男性ホルモンで活発に、女性ホルモンで制御しています。
産後は女性ホルモンの急激な低下に伴い、相対的に男性ホルモン優位の状態が続きます。
産後の女性の身体は一時的に更年期のような変調をきたし、汗腺機能の調節や体温調節が上手くいかなくなってしまうのです。
また男性ホルモンが優位になることもあり、汗をかきやすくなります。
これを「産褥期多汗」と言います。
2-2 免疫力低下による雑菌の繁殖
産後は慣れない赤ちゃんのお世話や睡眠不足で疲労が溜まります。
疲労の蓄積は免疫力低下をきたし、局所で雑菌が繁殖します。
2-3 食生活の変化(暴飲暴食、欧米食化)
妊娠出産では食の好みが大きく変わるため暴飲暴食に走りやすくなります。
特に乳製品や肉などのたんぱく質を多く摂るとアポクリン汗腺が刺激されて発達してしまいます。
2-4 母乳育児による汗腺刺激
乳腺は、汗腺、なかでもアポクリン汗腺から派生したものと言われています。
母乳育児で乳腺が刺激されると、アポクリン汗腺も同時に刺激され、産後に臭いが強くなるのです。
ポイント3
産後1年でニオわなくなる?
これらの産後に起こりうる体の変化は、個人差はありますが時間の経過とともに徐々に弱まる傾向にあります。
数か月~1年で自然に臭わなくなる人もいます。
一方、「授乳期を終え、産後の生理も再開している・・だけど臭いがずっと残ったまま気になる!」
という方は、残念ながらアポクリン汗腺が発達したまま定着してしまった可能性があります。(妊娠出産と頑張った勲章ですね!)
この場合、そのまま何もしなければ汗の量が自然に減ることはあまり期待できません。
気になるようであれば、専門機関で相談されることをおすすめします。
まとめ
「産後の多汗症、腋臭症は治る?治らない?」と題して、
- ①多汗症、腋臭症の基本的な仕組み。
- ②特に腋臭症、多汗症に影響を及ぼしやすいとされている産後の体の変化。そして、
- ③産後1年前後を目安にニオわなくなる人とニオい続ける人。
についてお話をしてきました。
発達したままのアポクリン汗腺による多汗症を治療したい場合、医療機関で汗を抑える治療が可能です。
半永久的な効果を期待できる器械による治療や、数分の施術でできる注射治療があります。
産後ケアの一環として、もしくはご自分へのご褒美として、治療をご検討なさってはいかがでしょうか?
※当院の治療について詳しくはこちら⇒お悩み別(ワキガ・多汗症)
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