ニキビ痕(クレーター)はこうしてできる!原因と対策や治療法

ニキビ ニキビ痕

ニキビ痕(クレーター)はこうしてできる!原因と対策や治療法

なんでニキビができた痕が凹んでしまうのか・・・?
凹んだニキビ痕(萎縮性瘢痕、陥凹性瘢痕、クレーター)は、そのかたちにより、 アイスピック型瘢痕(icepick scar)・ ローリング型瘢痕(rolling scar)・ボックスカー型瘢痕(boxcar scar)の3型に分類されます。
その種類により、最適な治療法が異なります。
ご自身のクレーターの種類はどれなのか気になりますよね。
3種類のクレーターの特徴を写真も交えて分かりやすくご説明いたします。

ニキビ痕(瘢痕)ができる仕組みと、その原因

ニキビの炎症が起こると、皮膚の細胞が「Toll様受容体(TLR-2)」というセンサーを活性化させます。
これにより、炎症が悪化し、コラーゲンが破壊されることで瘢痕(ニキビ痕)ができると考えられています。

ニキビ痕(瘢痕)ができる仕組みと、その原因

① 炎症を引き起こす物質が増える

「NF-κB」というスイッチが入ると、炎症を悪化させる物質(TNF-α、IL-1β、IL-8)が増え、白血球の一種である好中球が集まります。その結果、コラーゲンが分解・破壊され、瘢痕が形成されます。

炎症を引き起こす物質が増える

② コラーゲンを壊す酵素が活性化する

「AP-1」というたんぱく質が増えると、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)という酵素が活発になり、コラーゲンが壊れて瘢痕ができてしまいます。

コラーゲンを壊す酵素が活性化する

クレーター肌にならないために!皮膚の奥で起こる変化と予防策

また、ニキビ痕の変化を2年間追跡した研究では、萎縮性瘢痕(へこんだニキビ痕)の約83%が、赤み(PIE)や色素沈着(PIH)から進行してできたことが確認されました。これにより、赤みや色素沈着の段階でしっかり治療することが大切だと分かりました。

特に膿(うみ)をもったニキビ(膿疱性ざ瘡)や、大きく腫れたニキビ(嚢腫性ざ瘡)では、炎症が皮膚の奥深くまで広がり、毛穴が壊れてしまうことがあります。

さらに、ニキビの中身が毛穴の外に破裂すると、異物を攻撃しようとする強い炎症が起こります。この炎症が強すぎると、皮膚の奥にある「真皮」が完全に元の状態に戻らず、傷痕(瘢痕)になってしまいます。

その結果、皮膚の奥にある毛穴の組織や真皮が

線維化(固くなる)萎縮(縮む)皮膚のボリュームが失われることで、へこんだニキビ痕(陥没性瘢痕)が形成されます。

早期治療がクレーターを作るリスク軽減の鍵!

クレーターが形成されるのを予防するには、早期治療が重要です。ニキビができたらなるべく早く皮膚科を受診しましょう。

ニキビ痕のクレーターの種類

ニキビが治った後に残る凹み(萎縮性瘢痕、陥凹性瘢痕)は、その形状によって以下の3つのタイプに分類されます。

① アイスピック型瘢痕(icepick scar)

クレーターの種類 アイスピックタイプの写真
クレーターの種類 アイスピックタイプ

直径2mm以下で、真皮の深層まで達する細くて深い瘢痕です。横から見るとV字型の断面をしており、アイスピックで刺したような鋭く細い凹みが特徴です。

主な治療法

  • ・トライフィル →詳細はこちら
  • ・フラクショナルレーザー →詳細はこちら
  • ・ダーマペン(マイクロニードル) →詳細はこちら
  • ・TCAピーリング
  • ・パンチ切除

② ローリング型瘢痕(rolling scar)

クレーターの種類 ローリングタイプ
クレーターの種類 ローリングタイプの写真

直径4~5mm以上の瘢痕で、皮下の索状の線維性組織が皮膚を引っ張ることで、なだらかな陥凹が生じます。皮膚表面が波打つように凹んで見えるのが特徴です。

主な治療法

  • ・トライフィル →詳細はこちら
  • ・サブシジョン(瘢痕下切開術) →詳細はこちら
  • ・フラクショナルレーザー →詳細はこちら
  • ・ポテンツァ(ニードルRF)

③ ボックスカー型瘢痕(boxcar scar)

クレーターの種類 ボックスタイプ
クレーターの種類 ボックスタイプの写真

直径1.5~4mm程度の類円形の瘢痕で、境界がはっきりとしており、垂直に陥没しています。断面を見ると箱のような形をしているのが特徴です。瘢痕の底面は平らですが、周囲の皮膚との境界が明瞭なため目立ちやすい傾向にあります。

主な治療法

  • ・トライフィル →詳細はこちら
  • ・フラクショナルレーザー →詳細はこちら
  • ・サブシジョン →詳細はこちら
  • ・ダーマペン(マイクロニードル) →詳細はこちら
  • ・ポテンツァ(ニードルRF)
  • ・TCAピーリング
  • ・パンチ切除

ニキビ痕治療のポイント

ニキビ痕の凹みは、これらのタイプが単独で現れるのではなく、複数が混在していることがほとんどです。そのため、一人ひとりの肌の状態に合わせて、複数の治療を組み合わせることが重要です。

また、ニキビ痕には色素沈着や赤みなどの症状もあり、「この治療だけで改善できる」という単純なものではありません。専門的な診察を通じて、お肌の状態に合った最適な治療プランをご提案いたします。

ニキビ痕にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

参考:
Utako K: J Visual Dermatology 20: 164-167, 2021
Toshitatsu N: J Visual Dermatology 20: 151-156, 2021
Jacob CI, et al: Acne scarring: a classification system and review of treatment options, J Am Acad Dermatol, Jul;45(1):109-17, 2001.

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