植皮術(分層、全層)

形成外科専門医による傷跡修正

植皮術(分層、全層)による治療について

植皮術(しょくひじゅつ)は、外傷・手術・やけどなどによって皮膚が欠損した部位に、別の部位から採取した皮膚を移植し、創部の治癒を促す治療法です。皮膚が自然に再生することが難しい場合や、傷あとをできるだけ安定させたい場合に行われます。

植皮術には、皮膚の浅い層を用いる「分層植皮」と、皮膚を全層で移植する「全層植皮」があり、傷の深さ・大きさ・部位・仕上がりの希望などを考慮して適切な方法を選択します。

保険適用になるケース/ならないケース

保険適用となるケース

     

  • ・外傷ややけどによる皮膚欠損
  •  

  • ・手術後に皮膚が欠損した場合(腫瘍切除後など)
  •  

  • ・難治性潰瘍や瘢痕拘縮など、医学的に必要と判断される場合

保険適用外(自由診療)となるケース

     

  • ・見た目の改善のみを目的とした治療
  •  

  • ・美容目的での傷あと修正
  •  

  • ・医学的必要性が低いと判断される場合

※最終的な保険適用の可否は、診察・診断内容により判断されます。

診断・検査について

診察では、傷の大きさ・深さ・部位・皮膚の状態を詳しく確認します。必要に応じて、
・創部の感染の有無
・血流や治癒能力
・既往歴や基礎疾患(糖尿病など)

を総合的に評価し、植皮術が適しているかを判断します。通常、特別な画像検査は不要ですが、状態に応じて血液検査などを行うことがあります。

治療・手術内容について

<分層植皮>
分層植皮は、表皮から真皮の一部までを薄く採取して移植する方法です。比較的広範囲の欠損に対応でき、生着しやすいという特徴があります。採皮部は時間とともに自然に再生します。

<全層植皮>
全層植皮は、表皮から真皮全層を採取して移植する方法です。色調や質感が比較的自然に仕上がりやすく、顔や目立つ部位に用いられることがあります。採皮部は縫合して閉鎖します。
手術は局所麻酔または状態により伝達麻酔・全身麻酔で行い、創部と採皮部の両方を丁寧に処置します。

術後の経過とダウンタイム

術後は移植した皮膚がしっかり生着するまで、安静と固定が重要です。通常、
・数日〜1週間程度で生着の確認
・抜糸は1〜2週間前後
・赤みや硬さは数か月かけて徐々に落ち着く
といった経過をたどります。日常生活への復帰時期は部位や範囲により異なります。

合併症・リスク

以下のようなリスクが生じる可能性があります。

  • ・移植皮膚が十分に生着しない
  • ・感染
  • ・血腫・滲出液の貯留
  • ・色調差や段差が残る
  • ・瘢痕形成や拘縮

これらのリスクを最小限にするため、術後管理と定期的な診察が重要です。

生活の注意点

・指示された期間は創部を安静に保つ
・濡らさない・強くこすらない
・喫煙は治癒を遅らせるため控える
・異常(強い痛み・赤み・発熱など)があれば早めに受診

医師の指示に従った生活管理が、きれいな治癒につながります。

よくある質問(Q&A)

+

完全に同じにはなりませんが、時間の経過とともに周囲となじんでいきます。

+

分層植皮では徐々に再生します。全層植皮では細い傷あとが残ることがあります。

+

術後に痛みが出ることがありますが、鎮痛剤でコントロール可能です。

費用(保険適用の場合の目安)

保険適用(3割負担)の場合、
数万円〜10万円前後
が目安となります。範囲や方法、麻酔の種類により費用は前後します。

まとめ

植皮術は、皮膚欠損や治りにくい傷を安定させ、機能と見た目の回復を目指す治療です。分層植皮・全層植皮それぞれに特徴があり、傷の状態に応じた適切な選択が重要です。医師と十分に相談しながら、安心して治療を受けていただけるようサポートいたします。