きず、きずあと|保険でできる形成外科治療

形成外科専門医による傷跡修正

この症状・疾患について

傷跡は未成熟瘢痕(傷ができた直後から半年)、成熟瘢痕(半年以上経過)があります。
未成熟瘢痕は赤み・腫れ・硬さがありますが、本来であれば半年以上かけて、白く・平ら・柔らかな成熟瘢痕になります。しかし、何らかの原因でその過程が上手くいかず、肥厚性瘢痕やケロイドになってしまうことがあります。
原因としては下のようなものがあります。
・傷が深かった、また傷の縁が凸凹している、きずが治るのに時間がかかった。
・常に傷が引っ張られている
・ピアスの着脱やニキビの反復
・血圧が高い(ケロイドが重症になりやすい)
・全身の炎症
・妊娠している(女性ホルモンが肥厚性瘢痕やケロイドを悪化させる)
・過度の飲酒や運動
・遺伝的な問題

ケロイドは増大傾向があるため、早期から治療を開始することが望ましいです。特に体質がある方は傷ができた直後から注意深く経過をみる必要があります。

保険適用になるケース/ならないケース

保険適応になるのは、けがや手術などでできた傷跡が多いです。
美容の施術により生じた傷跡の修正は自費治療になります。

診断・検査について

傷ができた時の状態や治り方、部位、個数、経過や生活習慣、家族歴、体質、人種など、お話しを伺いながら、肥厚性瘢痕やケロイドの診断をします。
ただ、肥厚性瘢痕とケロイドは見た目では判断がつきにくいことがありますが、拡大しケロイドにならないか経過をみながら治療を開始します。

治療・手術内容について

治療には下記があります。

1.保存的治療

保湿・紫外線予防・摩擦禁止

圧迫・固定療法

テープ、スポンジ、サポーター、シリコンゲルシート、コルセットで圧迫し、固定と患部の安静を保ちます。これらの材料は保険外になることが多いです。

内服

抗アレルギー剤(リザベン🄬)の内服が有効ですが、膀胱炎症状(下腹部痛、血尿など)を起こすことがあります。保険適応です。

ステロイドの外用とテープ貼付

保湿の面でもステロイド軟膏を塗ったり、ステロイドテープ(エクラプラスター🄬)を貼ったりします。テープの場合は1日1回入浴前に剥がして、テープを張っていた部分を泡でよく洗い、入浴後に乾いた傷跡に貼付します。軟膏は入浴後に塗布します。

ステロイド注射

ケナコルトを直接注射します。注入時痛みを伴うため、局所麻酔薬を混合して注射します。月に1回程度行います。保険適応となることが多いです。

レーザー治療

血管を減らすレーザーが有効とされていますが、保険治療にはなりません。
また、CO2フラクショナルレーザーは、肌に微細な穴をあけて、自らの再生力で傷跡を少しずつ改善します。ただ、保険適応にはならず、また複数回治療が必要になります。

2.手術

ひきつれ(瘢痕拘縮)の原因になったり、目立つ場所で醜状が問題となれば、手術の適応です。ただ、ケロイドに関しては再発しやすいため、できる限り再発がないように、縫い方を工夫したり、術後に放射線を照射するなどして再発を予防しています。

瘢痕形成術

引っ張られる方向に力がかからないように、向きを変えるZ形成術や、ジグザグに縫うW形成術を行います。

皮弁作成術

ひきつれ近くの皮膚をパズルのように切って組み合わせる、皮弁を用いることもあります。

植皮術(分層植皮、全層植皮)

瘢痕を切開や切除し、皮膚が欠損したところに、自分の他の部分から採取した皮膚を移植します。分層植皮か全層植皮を行うかは、傷の深さや部位によって検討します。また術後のダウンタイムもそれぞれ異なるため、最適な方法をご提案します。

術後の経過とダウンタイム

当日は手術した部位を濡らしたり、触ったりせず、くり抜いたところに、出血を防ぐために、運動や飲酒を控えていただく必要があります。
翌日以降、血抜きの管が抜け、出血が止まれば、激しい運動や創部に負担になることは避けていただき、数日以内には創部を保護したままのシャワー浴が可能となります。
抜糸は部位や手術の内容にもよりますが、7~14日頃に行います。
抜糸後は傷跡にテーピングをしたり、追加の治療をご提案することもあります。

合併症・リスク

傷跡を切除した場合、最善な方法で予防はしますが、体質等によっては、ケロイドが再発する場合もあります。
植皮術の場合は、移植した皮膚がうまくくっ付かないことがあります。その場合は追加の治療が必要となります。また皮膚を採取する部位に傷ができます。

生活の注意点

植皮後は少なくとも1~2週間は濡らすことができません。これは移植した皮膚がくっつくのに時間がかかるためです。
また、傷跡を切除して傷を作るのですから、また傷跡ができます。なるべく再発しないように様々な工夫を行います。
傷跡に過度の圧力がかかるような動きは避けていただき、テーピングやサポーターなどで傷跡の安静を考慮しながらであれば、普段の日常生活をおくっていただけます。

よくある質問(Q&A)

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基本的には整容面の改善なので保険適応が認められていません。
傷跡の種類により治療内容も変わるため、費用等はご相談ください。

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ケロイド切除の術後電子線照射は保険適応で、ケロイドの発生部位は皮膚の浅い層であり、電子線も皮膚表面数mmに最大効果を発揮するため、深部の臓器への影響はほとんどないと言われています。ただ、当院では電子線を照射できないため、術後再発のリスクが高く、放射線の併用が必須であると判断した場合は、他施設をご紹介することになります。

費用(保険適用の場合の目安)

手指のやけどやケガなどで、軽度のひきつれを伴う、肥厚性瘢痕に対して、
瘢痕形成手術した場合、3割負担で25000円程度になります。

まとめ

きず・きずあとの治療は、整容面の改善のため(自費)とあきらめず、肥厚性瘢痕やケロイドと診断されれば保険適応となることもありますので、気になった時はまずご相談ください。