
この症状・疾患について
粉瘤とは
粉瘤は、最も頻度の高い良性の腫瘍です。角質が皮膚の内部に溜まることによってできます。アテローム、表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれます。
粉瘤のできる部位
粉瘤の経過・症状


粉瘤のライフサイクル

- 定常期:炎症や腫脹を伴わない落ち着いた状態。
- 炎症期:軽度の炎症を生じ、嚢腫が急激に増大し、発赤や紅斑を伴う。
・発赤: - 感染・腫脹期:炎症がさらに増強し、嚢腫内に感染した液体が貯留し、触るとブヨブヨしている。周囲は、発赤し、触ると痛みが生じる。
- 破裂期:嚢腫が破れ、膿や内容物が排出される。
- 治癒期:嚢腫の中身が排出され、感染と炎症が治まる。
粉瘤は上記のように、定常期、炎症期、感染・膨張期、破裂期、治癒期と辿っていきます。
そのまま放置すると治癒後に多くは再発します。
粉瘤は自然に治るのか?
自然治癒することはないので、根治治療には手術による摘出を行う必要があります。
保険適用になるケース/ならないケース
保険適用となるケース
- ・感染の有無にかかわらず、診察で粉瘤と診断されれば、保険が適応となります。
診断・検査について
粉瘤は体のどの領域にも発症します。ですので、その他の疾患との鑑別を的確に行い診断する必要があり
ます。
粉瘤と鑑別しないといけない疾患は以下のものがあります。
- ・ガングリオン
- ・鰓裂嚢胞(Branchial Cleft Cysts)
- ・皮膚石灰沈着症(Calcinosis cutis)
- ・ガードナー症候群(Gardner Syndrome)
- ・脂肪腫
- ・稗粒腫
- ・多発性脂腺嚢腫( Steatocystoma multiplex )
- ・外毛根鞘嚢腫( trichilemmal cyst )
- ・化膿性汗腺炎
- ・有棘細胞癌
など
治療・手術内容について
従来の治療について
従来、粉瘤は紡錘形に切除するのが一般的でした。日本形成外科学会HPにも「腫瘍の直径の1~2倍の長さで開口部を含めて紡錘形に皮膚切開をして内容物を袋ごと摘出し」と記載されています。
しかしこの方法では、粉瘤の大きさに対して1~2倍の傷ができてしまうのが欠点です。

くり抜き法(へそ抜き法)
トレパンという器具で粉瘤に小さな穴を開け、そこから粉瘤の内容物と袋を摘出します。
その結果、治療後の傷を最小限にすることができます。

当院では症状に応じてくりぬき法を採用しています。
くり抜き法による治療の流れ
当院の治療方針
感染しているもの
1.内服療法
◆経過
数日間で感染が治まります。
治まった後に外科手術を行います。
2.切開排膿法
ブヨブヨして炎症が強く起きている場合は、切開排膿し、中にはガーゼを詰めて消毒を行います。
◆経過
数日間通院が必要です。
約1−2週間ガーゼ交換を行います。
ガーゼ交換を終えると、約2−4週間軟膏を傷に塗布し、傷がふさがるのを待ちます。
傷がふさがるとしこりになります。しこりが十分小さくなれば、手術によってしこりを除
去します。
感染していないもの
くりぬき法(へそ抜き法)
5mm~5cm未満の場合
切開法
5センチを超えるとき
大きく膨らんで皮膚が伸びているとき
粉瘤を一部の皮膚とともに切開し、摘出します。
合併症・リスク
比較的安全性の高い手術ですが、以下のリスクがあります。
- ・出血(丁寧に止血しますが、血をサラサラにする薬などを内服している方は出血のリスクがあります。術後の安静も重要です)
- ・血腫(傷の下にじわじわ出血があった場合にできます。止血を丁寧に行いますが、術後の安静も重要です)
- ・感染(術後は抗生剤を内服し、予防します)
- ・傷跡(なるべく目立たないようにしますが、切開している以上はゼロにはなりません)
- ・再発(袋が取り切れていない場合)
- ・違う場所にできる(体質などで多発する方もおられます)
リスクを最小限にするため、術前評価と術後管理を丁寧に行います。
生活の注意点
- 手術当日は運動、飲酒、入浴、患部のお化粧は禁止です。患部を濡らさなければシャワーは可能です。
- 患部を覆っているガーゼは外さずに、翌日消毒にご来院して頂きます。
- 手術後24時間が経過したら、入浴は禁止ですが、患部を含めてシャワー可能です。
- 経過に問題がなければ、翌々日以降はご自宅にて処置を行って頂き、手術から7日後に抜糸にご来院して頂きます。
- 抜糸後は日常生活の制限はありません。
- 手術痕は線状の傷跡になり、1年程度で目立たなくなります。(体質や部位により、傷跡が目立って残る場合もあります。)
よくある質問(Q&A)
粉瘤は自然に消えることはほとんどありません。中に袋(嚢胞)が残っている限り、炎症が落ち着いても再発することがあります。根本的に治すには、袋ごと取り除く手術が必要です。
放置していると、細菌感染を起こして赤く腫れたり、強い痛みや膿が出ることがあります。炎症が起こると切開や治療期間が長くなる場合もあるため、早めの受診がおすすめです。
局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みを感じる程度で、術後の痛みも軽度なことが多いです。
切開を行うため、多少の傷あとが残る可能性はあります。ただし、粉瘤の大きさや部位に応じて切開を最小限にし、目立ちにくくなるよう配慮して手術を行います。時間の経過とともに徐々に目立たなくなることがほとんどです。
粉瘤は良性腫瘍のため、診察・検査・手術はいずれも健康保険が適用されます。ただし、美容目的での処置や特殊なご希望がある場合は、自費診療になることがあります。
費用(保険適用の場合の目安)
露出部(顔、首、肘から指先まで、膝から足先まで)の場合、切除した粉瘤の合計
患者様のご負担が3割の場合
| 2cm未満 | 5,310~5,910円程度 |
|---|---|
| 2cm~4cm未満 | 11,340~11,940円程度 |
| 4cm以上 | 13,410~14,010円程度 |
患者様のご負担が1割の場合
| 2cm未満 | 1,770~1,970円 |
|---|---|
| 2cm~4cm未満 | 3,780~3,980円 |
| 4cm以上 | 4,470~4,670円 |
非露出部の場合(露出部以外)切除した粉瘤の直径の合計
患者様のご負担が3割の場合
| 3cm未満 | 4,170~4,780円 |
|---|---|
| 3cm~6cm未満 | 10,020~10,630円 |
| 6cm以上 | 12,810~13,420円 |
患者様のご負担が1割の場合
| 3cm未満 | 1,390~1,590円 |
|---|---|
| 3cm~6cm未満 | 3,340~3,540円 |
| 6cm以上 | 4,270~4,470円 |
まとめ
粉瘤は、自然に治ることはなく、根治のためには手術による摘出が必要な良性腫瘍です。
放置すると炎症や感染を繰り返し、腫れや痛みが強くなったり、再発しやすくなることがあります。
粉瘤の状態や大きさ、炎症の有無によって、適切な治療方法は異なります。
当院では、できるだけ傷跡や身体への負担を抑えた治療を心がけ、症状に応じた方法をご提案しています。
しこりや腫れが気になる場合は、悪化する前にお気軽にご相談ください。

